中古車を探していると、「走行距離10万キロ超」の車が手ごろな価格で並んでいるのを見かけます。価格にひかれて候補に入れる方も多いですが、「本当に買って大丈夫なのか？」と不安になるのも自然な感覚です。

結論から言えば、走行距離10万キロを超えていても、買って問題ない車と避けるべき車は明確に分かれます。今回はその違いを具体的に解説します。

なぜ10万キロがひとつの区切りなのか？

日本では一般的に、走行距離が10万キロを超えると“過走行車”と見なされます。これは車の構造や部品の耐用年数が、10万キロを目安に設計されているケースが多いためです。

たとえば、国土交通省が発表した保安基準に基づく耐用距離では、エンジン・ミッション・足回り部品などの設計寿命が10〜15万キロに設定されていることが多く、交換・整備のタイミングが迫っている可能性があります。

そのため、「まだ走れるか」ではなく「どこまで整備されているか」が重要です。

買っても大丈夫な10万キロ超え中古車の条件

以下の条件を満たしている車であれば、10万キロ超えでも購入を検討できます。

・定期的に記録簿付きで点検・整備されている
・タイミングベルトやウォーターポンプなどの主要部品交換済み
・エンジン・トランスミッションの異音や変速ショックがない
・車検時や法定点検で不具合の指摘が少ない履歴
・信頼できる販売店が整備後に保証付きで販売

これらを確認できる場合、10万〜15万キロの車でも安心して乗れる可能性があります。逆に、整備記録のない車や、購入後すぐに高額修理が発生するリスクがある車は避けるべきです。

避けるべき10万キロ超中古車の特徴

以下に当てはまる車は、たとえ価格が安くても注意が必要です。

・オイル漏れ、にじみが見られる
・エアコンやパワーウィンドウの作動が不安定
・過去の事故歴が不明、または修復歴がある
・下回りにサビが多い（特に沖縄など海沿い地域は注意）
・安価で販売されているが、保証が一切ない

このような車両は、売買後すぐに不具合が出る可能性が高く、修理費が数十万円単位になるケースもあるため、結果的に“高い買い物”になってしまいます。

「車の寿命＝走行距離」ではないという事実

自動車技術会の調査によると、近年のエンジンや車体構造の進化により、国産車の平均使用可能距離は20万キロ以上に伸びています。つまり、走行距離10万キロは“寿命の折返し”とも言え、しっかりメンテナンスされていれば、まだまだ活躍できる車も多いということです。

中古車の価値を「走行距離」だけで判断するのは時代遅れになりつつあります。

走行距離より整備履歴を可視化してほしい

中古車市場ではいまだに「走行距離の少なさ＝良い車」というイメージが根強くあります。しかし、走行距離が少なくても、長期間動かさずに放置された車両の方がトラブルは多いという現実もあります。

今後は「走行距離」よりも「整備履歴」や「交換部品歴」を重視し、それを購入者が理解しやすい形で開示する仕組みが市場全体に求められます。

長く乗れる一台を選ぶために

中古車購入で失敗しないためには、「見た目の安さ」や「走行距離の数字」だけで判断しないことが大切です。
プロが整備し、記録が残っていて、販売店が責任を持って売る車なら、たとえ10万キロを超えていても“買っていい車”です。

将来の買取や売却、家族の送迎、通勤の安心を考えたとき、数字の先にある中身＝価値を見極める目が、これからの中古車選びには必要です。

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